どっきり その2
スーパーで隣のレジに並んでいた50代のおじさん。カートの子供用の座席に卵の大パックを置いていました。卵は割れやすく、こちらのカートは大きいので、それ自体は珍しくないことかもしれません。ところが、商品をレジ横のベルトコンベアに移したあとも、卵はそのまま。しかも、カートの下部にはミネラルウォーター12本も乗っています。
自分の番になると、おじさんは愛想よくキャッシャーの女性に話しかけながら、卵と水を死角に移動させました。
レジを通った商品は、その場でポリ袋に入れますが、おじさんは会計済みの商品を入れた袋を卵の上に置いて隠してしまいました。
ひゃ~、万引き! アンフェアな行いは許せません。ですが、キャッシャーに声をかけようにも、フランス語でなんと言えば良いのやら。しかも、相手はかなり大柄な男性です。駐車場で待ち伏せでもされたら、命に関わります。どきどきしながら見ていると、おじさんは会計を終えてしまい……と、キャッシャーに電話がかかってきました。
電話を受けたキャッシャーはおじさんを引きとめ、レシートとカートの中の商品を丹念に突き合わせていきます。子供用の座面に置かれた卵も見つかり、レシートに記載がないことが確認されました。ちゃんと見ている人がいたんですね。スカッとしました。
おじさんはお金を払って帰って行きました。卵とミネラルウォーターの万引き未遂くらいでは、警察は来ないのかもしれません。ですが、ずいぶん手馴れていましたし、あれは常習犯ではないでしょうか。お咎めがないのでは、遠からずまたやらかすでしょうね……。
先日、携帯電話を盗まれた友人が相談に行ったショップでは、「パリは観光客と泥棒の街。こんなことは日常茶飯事」だと言われたそうです。ある大型量販店では、入店する客のバッグに結束コードで封をします。小さなスーパーでは、キャッシャーが客のバッグを調べることもしょっちゅうです。スリや空き巣、そして強盗の話は、珍しくもありません。
泥棒は多い、道は犬の糞だらけ、失業率が高くてホームレスがごろごろ……だけど「花の都」なんですよね。パリほどイメージ戦略に長けた都市は、ほかにないかもしれませんね。そういうわたしも、パリは嫌いではありませんが……。



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